結婚して数年。40代の私たち夫婦には、子どもがいません。
「子どもはまだ?」「早い方がいいよ」そんな言葉がかけられることもあります。でも今、私は心から言えるのです。子どもがいなくても、私は幸せです、と。
昔の「当たり前」が作った“幸せ”のイメージ
私が子どもの頃、周りの大人たちが描く「女の幸せ」は、とてもシンプルでした。
結婚して、子どもを産んで、家族を繋ぐ。それが「普通」で「幸せ」なことだと、誰もが当然のように話していました。母も祖母も、そして近所のおばさんたちも。
「女の子は結婚して子ども産んでこそ一人前」
「子どもがいないと老後が心配よ」
「母親になって初めて女性として完成する」
そんな価値観の中で育った私は、いつの間にか「子どもを持つこと=幸せ」という方程式を、疑うことなく受け入れていました。
でも、大人になって結婚し、夫と二人の時間を重ねるうちに、少しずつ気づいたのです。
幸せって、もっと自由で、もっと多様なものなんじゃないか、と。
子どもがいない人生を選んだ私たち
夫と私が子どもを持たないことを決めたのは、特別な理由があったわけではありません。
二人でいる時間が心地よくて、今の暮らしが満ち足りていて、「この幸せを大切にしたい」と自然に思ったから。そして、お互いのやりたいことを応援し合える今の関係性を、何より大切にしたいと感じたから。
朝、ゆっくりとコーヒーを淹れて、夫と今日の予定を話し合う時間。
仕事から帰ってきて、「今日はどんな一日だった?」と聞き合える夕食の時間。
週末に二人で行きたい場所へふらりと出かけられる自由。
こんな何気ない日常が、私たちにとってかけがえのない幸せでした。
子育てという素晴らしい経験を選ばなかったことで、代わりに得られるものがある。仕事に集中する時間、趣味を深める時間、夫婦でゆっくり向き合う時間、そして自分自身を向き合う時間。
それも、立派な人生の選択なんだと思うのです。
それでも時々感じる”寂しさ”も、受け入れている
正直に言うと、寂しさを感じる瞬間がないわけではありませんん。
同年代の人たちが子どもの成長を話しているとき、家族連れを見かけたとき、年老いた両親を見ているとき。「もしかしたら…」と思うことも、確かにあります。
でも、その寂しさを「不幸」だと決めつける必要はないんじゃないかと思うのです。
人生にはいろんな感情があって当然。喜びも悲しみも、満足も不安も、すべてひっくるめて私の人生です。寂しさを感じることがあっても、それで私の今の幸せが否定されるわけではない。
むしろ、そんな複雑な感情も含めて受け入れることで、自分の選択により確信を持てるようになった気がします。
完璧な幸せなんてなくて、でもそれでいいんだ、と。
幸せの形はいろいろあっていい
子どもがいる人生も素晴らしい。でも、子どもがいない人生も素晴らしい。
キャリアに情熱を注ぐ人生も、趣味を極める人生も、パートナーとの時間を大切にする人生も、一人の時間を愛する人生も。
どれも等しく価値のある、その人だけの幸せの形なんだと思うのです。
私は今、仕事にやりがいを感じ、夫との関係に満足し、自分の時間を有効に使えている実感があります。両親との時間も大切にしている。
これが私たちの幸せの形。誰かと比べる必要も、誰かに理解してもらう必要もない。
大切なのは、自分の心に正直でいること。そして、自分が選んだ道を信じること。
他人の物差しで自分の幸せを測る必要なんて、どこにもないのです。
同じように感じている人へ
もしかしたら、この記事を読んでくださっている方の中にも、同じような思いを抱えている方がいるかもしれません。
「子どもがいないと幸せになれないのかな」
「私の選択は間違っているのかな」
「周りの期待に応えられない自分はダメなのかな」
そんな風に悩んでいる方がいるとしたら、私は声を大にして言いたいです。
あなたの人生は、あなたが決めていい。
あなたの幸せは、あなたが定義していい。
子どもがいてもいなくても、結婚していてもしていなくても、キャリアがあってもなくても。どんな選択をしても、それを大切に生きているあなたは素晴らしいのです。
私たちは一人ひとり違う人間で、違う価値観を持ち、違う幸せを求めて生きています。だからこそ、世界は豊かで美しいのだと思うのです。
あなたの今を、どうか肯定してください。
あなたの選択を、どうか信じてください。
私も、まだまだ迷いながら、悩みながら生きています。でも、自分の人生を愛することを諦めたくない。そして、同じように頑張っている誰かを、心から応援したいと思っています。
女の幸せは一つじゃない。私たちには、もっとたくさんの可能性があるのです。
この記事が、誰かの心を少しでも軽くできたら嬉しいです。あなたの今日が、温かい一日でありますように。